日が暮れたので、枝を積み重ねて焚き火をしようと四苦八苦していると、招待に応じて夕食に来てくれた集落のおじいさんが2人やってきました。しばらく僕達の着火作業を見た後、ポツリとこう言いました。
「そんなんじゃぁ100年経っても火はつかんよ。」
言うより早く、おじいさん達はすすっと積み上げた枝に近寄り、パキパキと折って火にかざします。すると、あっという間に火が燃え移り、枝の山にパッと火がつきました。
「山へ行ったら、雨が降っとっても火がつけられる方法があるんよ。」
「乾いた笹を取ってきてな、ほら、先を割ってやるとすぐにつくよ。」
「雨の中で火がつけれたら一人前やな。」
先人の技はさすがです。
キャンプのはじめに、自治会長さんが「それでも集落は消える」とおっしゃいました。しかし、この技を消してはならないと直感的に思いました。
勢い良く燃えだした焚き火を後に、おじいさんはこう言い残してテントへ戻っていきました。
「火がつけれんってこたぁ、あんたらはまだまだ半人前じゃな、ほっほっほ。」
・・・恐れ入りました。