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目的縁(知縁)によるグループ
 僕の周囲には同じような趣味(?)を持つ友人がいます。それらが集まり、薪を集めること、資材を集めること、火を焚くこと、その火で調理することなどの活動を行うことがあります。これらの活動には、それなりの労力が要で、数人で力を合わせて1つの物事を成し遂げ、その成果を分け合うという仕組みが何となくできあがっています。
 例えば、薪集めの場合。山や果樹園で薪があるという話があれば、2トントラックや軽トラックに数人が乗り合わせて集合します。そして、力を合わせてガーッと積み込み、集積場所へ運び、ドドドッと荷を下ろします。その後、それぞれに薪を分配して使うこともあれば、みんなで一緒の活動で使ったりします。

 このように、資源を得るためには同じ目的を持つ者が集まって力を合わせ、目的を達成しなければならない状況が多々あります。その目的が明確になり、構成員と役割分担が発達してくると、共同体としての組織化が進みます。

 農業機械が普及する前などは、集落全員が出て農作業を行い、農家それぞれの助け合いの中で農業が成り立ってきました。それは、「結い」、「手間替え」、「テゴ」などと表現されています。集落は、地縁によって成り立っている農作業の共同体であると同時に、葬儀、祭り、道の補修などの生活の維持も担ってきました。
 モータリゼーションと分業化と個人主義化などが進んだことにより、現在は集落の意義や帰属意識が低下しています。もっともそれは、必ずしも悲観すべきことではなく、農山村であっても過去数十年の間に大きな変貌を遂げた社会に対して、旧来の仕組みが密接に対応できていないという客観的な見方をすべきでしょう。

 地縁は依然として重要な面もありますが、同じ集落に住む者であっても、考え方が均一ではありません。現代は、地縁のカウンターとして、目的縁を持った集団によって生活や生業を成り立たせるという発想も持つべきなのかもしれません。
 価値観の多様化と言われている現在、目的縁(しかも集団化しなければ達成できない目的)は、個々の知的レベルに依拠する部分が大きいのではないかと思います。例えば、自給が必要であるという視点に共感する者が集まれば、薪を集め、食物をつくり、ノウハウや情報を交換しあうといったことを効率よく進めることができます。

 自給を考えるにあたっては、目的縁あるいは知縁による集団化も考慮してみたいと思います。

 余談ですが、僕が今の家に引っ越しするにあたり、薪集めグループから薪のお祝いをもらいました。のし紙こそついていませんでしたが、実用的な贈り物は嬉しいですね。
by senang | 2007-01-22 12:20 | 【2】コミュニティ
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