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引っ越し協定
 今の家へ引っ越すにあたり、大勢の友人にお世話になりました。貴重な休日を使って駆けつけてくれた方ばかりです。朝から軽トラックや8人乗りワゴンで駆けつけてくれた家族もあります。同世代の家族が多いため、必然的に様々な年齢の子供もくっついてきます。気がつけば、大人が11人、子供が14人。大人達が大物の運搬作業に汗を流す中、子供達は小屋の屋根によじ登ったり、裏山を駆けめぐったり、林の遠くの方から絶叫したりしています。そして、山から帰ってきたら泥だらけです。

 気がつくと、仲間内で引っ越しがあると手伝いに行くという暗黙の了解のようなものができあがっていました。「○○家は○月○日に引っ越しだよ」という情報が回ってくると、さっと駆けつけます。男性は重量物の運搬、女性は掃除という役割分担も見事で、まさに「引っ越し協定」とでも呼べるようなものができています。これまでに我が家を含めて4件の引っ越しがありました。
 勿論、引っ越し当日のつきあいだけではなく、友人達とは引っ越し以外でも家族ぐるみのつきあいをさせていただいており、再々遊びに来てもくれます。子供が泊まりに来たり、家事や仕事で手が離せない時は、お互いに子供を預かったり預けたりという簡単な助け合いも日常的にやっています。
 我が家を含めた友人同士のつながりは、子供が同級生だったり、日頃から仲が良かったり、職場が一緒だったり、陶芸教室で一緒だったりなど、接点は様々。気がつけば、そこで気のあった者同士がまとまっていたという感じです。基本的には仲良しグループだったのですが、最近では生活面での助け合いがかなり機能的になってきたように感じます。

 客観的に見ると、この「引っ越し協定」は外来者(Iターン者)が多いように感じます。Iターン者が多いからこそ、頻繁に引っ越しというイベントが発生しているという見方もできます。かつての田舎では、地縁・血縁といった関係の中で、生活機能を補完しあっていたのかもしれません。それを先天的に持たないIターン者同士だからこそ、「引っ越し協定」や核家族ならではの日常的な助け合いが色濃くなっていくという一面もあるように感じます。
 また、都市部では様々な業態が発展し、商売として成り立つため、対価を払うことで諸々の作業ができるようになっています。ただし、引っ越し屋さんも不動産屋さんも存在しないこのあたりでは、仲間が頼みの綱という状況でもあります。

 このような生活密着型の世帯同士のまとまりも、ある種のコミュニティと言えるでしょう。大袈裟な表現をすれば、「生活していくために助け合いをする単位」という性格のコミュニティです。
 自分の生活が誰の助けによって成り立っているのかを考え、そして、これからを展望した時、地縁でも血縁でもない、フィーリングや価値観を共有するまとまりによって生活の補完を行っていく余地が十分にあると感じています。

 さて、「引っ越し協定」では、引っ越しにかかる費用として、手伝ってくれた人に食事をおごるということも暗黙の了解となっています。我が家の場合は25人分の食費ということになりました。新居に大きめのテーブルを2つ並べ、育ち盛りの子供達が繰り広げる嵐のような食卓は、すさまじいものがありました。
by senang | 2006-11-20 18:29 | 【2】コミュニティ
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