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便利時代 その2
 我々の周囲を見回すと、大量の化石燃料を使っているということを認識させられます。乗り物を動かし、物を生産し、プラスチックなどの原料でもあります。かなりの部分を化石燃料に頼っていることから、「化石燃料文明」と呼んでも差し支えないでしょう。物質的な充足を確保し、それに根ざした文化や思考も育まれてきました。

 今、化石燃料がなくなったらどうしましょうか...?

 最近では、バイオマスエネルギーに加えて木質プラスチックなども開発されてきていますので、このあたりに化石燃料からの脱却を果たし、循環型資源へ切り替わるための活路を見出したいと考えています。しかし、次の2つの局面を迎えることになると考えられます。

1.技術の未成熟によって一時的に「不便になる」

 現在の技術水準では、完全に化石燃料の代替とはならないと思います。仮に、化石燃料の代替手段としてバイオマスが主軸になったとしても、現在と同等レベルの文化・文明を支えるだけのエネルギーやマテリアルにはなり得ないでしょう。
 バイオマス利用を主とした場合、技術的に発展途上であるため、現在の文化や生活は否応なく転換点を迎えることになります。見方を変えると「不便になる」ということでもあります。まず、このことに耐えられるかどうかが我々に課せられた課題だと言えるでしょう。
 厳しい言い方かもしれませんが、耐えられるか耐えられないかが問題ではなく、耐えざるを得ないという表現が正確なのでしょうね。

2.「環境容量に基づく資源である」という性質によって「便利」の定義が変わる

 技術の進展だけではなく、価値観にも変化が要求されます。限りある資源をいかに持続的に使うかということが至上命題になるため、これまでのように果てしない成長を志向することはナンセンスでしょう。ひたすら快適さを求めるバブリー志向も過去のものとなり、個々人に倹約と自立心が要求されることになります。
 生きるためや社会を維持するために、これまで考えもしなかった負担や努力が必要になることでしょう。今は、辛いことや嫌なことに対してすぐに「無理」と言う子供や親が増えています。生存上限の絶対値とも言える「環境容量」を設定し、その中で生き方や暮らし方を組み立てることは、このような子や親に喝を入れる良い機会かもしれません。そうこうしていると、ゆくゆくは「便利」の定義も変わってくるかもしれません。

 便利な時代、正確には「バブリーな便利時代」は、我々の世代で終焉を迎える・・・。言い換えれば、資源の転換を考えると、これからは好むと好まざると不便な時代に突入するということです。
 どれだけ不便になるのかはよくわかりません。しかし、確実に言えるのは、怠惰や快楽を無制限に追求できない時代、浪費することに何らかのお咎めがある時代になるということです。
by senang | 2006-10-11 18:27 | 【1】限りある資源
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