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クマ接近!
 先週に続いて再び山へ行ってきました。総勢3名で、雨が降って霧もたちこめる中、午前中はほぼ尾根伝いに進み、午後から急なコースを通って下山しました。カッコウ、ツツドリ、ホトトギス、ヤマガラ、コガラ、シジュウカラ、ウグイス、オナガ、アカショウビン・・・。鳴き声の紹介だけではなく、今回はカメラを忘れずに持って行ったので、状況もお伝えすることができます。山頂付近の霧に包まれた樹海をご覧ください。
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 山頂の約1km手前に長い階段があり、その途中でひと休みしていた時のこと。突然、上の方から何かが駆けてきました。ガザガザガザと笹藪を無造作にかき分ける音が、かなり早いスピードで近づいてきます。僕がとっさに「何か来る!」と言うと、座っていたあとの2人も慌てて立ち上がりました。
 このあたりにシカは生息しておらず、イノシシの生息域ももう少し下。なので、大型動物となるとクマの可能性が高いのです。中国地方ではクマによる人身事故が頻繁に起きています。出会い頭が最も危険で、飛びかかられてとっくみあいになったまま斜面を転げ落ちた人もいます。
 この日は、よりによって熊鈴をつけていませんでした。そのため、3人は慌てて「オォ~!」、「ウォォ~!」と叫び、手を振り上げてこちらの存在を知らせたのです。そうすると、あちらも20mくらいむこうで動きをピタリと止めました。
 お互い、見えない状況で膠着状態が続きました。クマに遭遇した時の鉄則は、「刺激しないようにゆっくり退散」。死んだふりをしても効き目はありません。3人は大きめの声で話し続け、上へと急ぎました。

 歩きながら、「元々はクマの通り道に人間が道をつくってしまったんだ」と、1人が話しだしました。確かにそうなのかもしれません。「人間が歩くところをクマが横切る」のではないわけです。
 そこで、人間と自然の関係について考えさせられました。今の時代、「人間vs自然」、「人間vsその他の動物」という考え方がメジャーになっているような気がします。しかし本当は、人間は自然の一部であり、その理の中で生き続けるべきではないかと思います。「自然に返る」のではなく、「自然の一部であることを思い出す」。

 様々な分野で技術が発達した今の世の中にあっても、そのことが重要だと思いました。

 クマとでくわせば必死になります。農家や高齢者にとっては、作物を荒らす害獣でもあります。一昨年は人家付近での出没が多く、安全確保のために射殺されたクマも多いと聞きます。しかし本来は、クマを排除することに技術を使うのではなく、ともに生きていくことに知恵を絞り、技術を活かすことができないか・・・と思いました。

 様々な分野で技術が発達した今の世の中にあるからこそ、そのことが可能だと思いました。

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 登山道の入り口にある看板です(今回はここへ下りてきました)。
by senang | 2006-05-21 02:26 | 【1】地球のリズム
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