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10億円で国をつくる男 「序2:ヨッシーの夢(18歳)」
社会保障制度でみんなが幸せになれるのだろうか?
政治家は国民のリーダーとしての資格があるのだろうか?
日本は先進国なのかもしれないが、不幸な人が減らないのはどうしてだろうか?
今の社会には色々な問題がある。将来が見えない。幸せを感じることができない。
だから、社会を動かす仕事がしたい。総理大臣になるのが夢だ。

                             2005年3月 緑山高校卒業コメント 吉村良治


極楽(FIction World)
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by senang | 2006-06-30 00:41 | 物語
10億円で国をつくる男 「序1:ヨッシーの夢(8歳)」
 ぼくは、大きくなったら、王さまになりたいです。なぜなら、わるい人がいない国をつくりたいからです。きのうも、どこかでぼくと同じ3年生の子どもがころされました。王さまになったら、かなしい人がいない国をつくりたいとおもいます。

                            1995年6月 みどり山小学校3年 吉村よしはる


極楽(FIction World)
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by senang | 2006-06-29 18:15 | 物語
古老の未来ビジョン
 先日、ある会合でおじいさんが突如として口を開きました。80歳に届く年頃とお見受けしました。演説が長かったので、要点だけまとめると、次のようになります。
  ↓
 「石油が高騰しているように、これからはエネルギーの不足や高値が問題になると思います。その一方で、田舎には放棄されたままの農地がたくさんあります。そこへトウモロコシやサトウキビを植えて、エネルギーを生産したいんです。」
 そんな話をしていたら、隣に座っていた無口な男性が口を開きました。「米は18%と、アルコールが抽出できる率は一番高いんですよ」と。実はその人、杜氏さんでした。

 次の日、おじいさんの住む地区を訪ねました。地区住民に対して同じ主張を繰り広げ、「この地区の農地でエネルギー生産をすることがわしの夢なんです。県内に有名な自動車メーカーもあるから、そこと連携して燃料利用を実用化できないものかと考えています。今度、栽培や燃料化の技術開発を進めようと市長に言ってみようかと考えているんですが、どうなることやら。20年後までには実現したいですね。」と語っていました。

 それを聞いた地区の人々は、「そこまでしなければ京都議定書は守れんかもしれんなぁ」と、理解を示していたことが印象的でした。
 エネルギーファーム計画、この地区なら現実のものにできるかもしれません。
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by senang | 2006-06-28 19:18 | 【1】限りある資源
残された時間は5~10年(森林資源の利用にあたって)
 日本の土地はわずかな例外を除いて所有者が決まっています。その中でも、特に所有が不明瞭になってきている森林について調査を行いました。
 本題に入る前に、森林の所有をめぐる状況を簡単に説明しておきましょう。住民や集落や村が所有者として森林を持つことになった大きな契機は、明治時代の地租改正です。この制度が成立した要因は、定常的に税金を取り立てるため、土地に着目して所有者を設定し、租税をかけるというものです。森林も例外ではなく、分割して集落在住者に分配し、所有(権)を認めました。その後、部落有林野(集落単位でみんなが共同で所有・管理していた山)の解体が進んだことなども、個人所有に拍車をかけることになりました。

 かつて、森林は生活の場や生産現場として積極的に利用されてきました。燃料として使う炭を焼き、資材として利用するために木を伐り、時には山そのものを焼いて焼畑にするなど、まさに知恵と技が集積されていたのです。しかしそれは、一方的な収奪ではなく、伐って使って育ててまた伐って使うという再生サイクルが重視されていました。それを守るための厳しい掟を定めていたところもあります。そこには、人と自然の高度な関わり方が存在していたわけです。
 このような関わりが断ち切られたのは、1960年頃から始まった燃料革命と高度経済成長期です。炭や薪がガスや灯油や電気に替わったために山での仕事がなくなりました。その一方で、ガス代、灯油代、電気代を払うために現金収入が必要となり、農山村の人々は自給自足的な生活を離れて都市部へ働きに出るようになりました。
 1960年頃まで働き盛りだった人は、山が「現場」だったわけですので、山のことを良く知っています。ただし、それ以後に働き盛りを迎えた人は、山で働いた経験がないため、山のことをほとんど知りません。前者は昭和一桁世代と呼ばれる人々で、今は70歳代以上となっています。つまり、70歳代と60歳代では森林との関わり方に決定的な差異があり、その差異は森林をはじめ自然に対する考え方や価値観などにも影響しています。

 時は流れて現在、昭和一桁世代が亡くなる時期に突入しています。そうなると、所有権は次世代に移り、大方の場合、所有者(正確には納税義務者)は昭和一桁世代の子供世代である50歳代以下となるわけです。次世代が山の状況や山での暮らしを知らないというのは、かなり深刻なのです。
 まず、自然との関わり方を知る者がほとんどいなくなってしまいます。これは技術的なことだけではなく、価値観や自然観なども含まれています。様々なことが昭和一桁世代の消滅とともに途絶えてしまうわけであり、今のうちに知恵や技を受け継ぐことができるのかが問題です。
 次に、次世代は固定資産税を払っているのに、自分の家の山がどこにあるのか、境界線がどうなっているのかがわからないという状況になります。悪くすると、納税に裏付けられた権利は残るものの、実のところはその財産の管理すらできない状態なのです。悪意はなくても、管理したくても管理の対象がどこにあってどうなっているのかわからないという事態になりかねません。もしもそうなったら、バイオマスなどの新たな資源利用を進めようとしても、目の前に資源があるのに利用できないということになってしまいます。

 日本の国土の7割は森林です。この持続的な資源に基づいてエネルギーなどの自給率を上げることができなければ、決して日本に明るい未来はないでしょう。それは、森林の状況をよく知り、森林との関わり方や価値観などについても重要な鍵を握っている、昭和一桁世代をどう活かすのかにかかっています。彼らが持っているものをどこまで継承できるのか…?森林の可能性を引き出すために残された時間は、彼らの存命中の5~10年ということになります。

 もうほとんど時間はありません。
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by senang | 2006-06-16 10:05 | 【1】限りある資源
捨てられた農地、取り残された集落
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 ここはかつて、田んぼだったところです。田んぼとして使われなくなって数十年が経過し、今ではさながらジャングルのようになっています。急な斜面に人家が点在しており、朽ち果てた空き家が目立ちます。現在、この集落には200軒くらいの家がありますが、3人に2人が高齢者です。
 谷筋を注意深く見ていくと、写真と同じような農地の跡を数多く発見しました。つまり、今以上にたくさんの農地があり、それを耕す人がいたということです。自給自足していたというと極端に聞こえるかもしれませんが、それはあながち大袈裟ではなく、集落内部にある資源で成り立っている生活がそこにはありました。

 高度経済成長期は、農山村の人々を大量の働き手として都市へ引きずり出しました。その後に残ったものが、このような農地と集落です。こうなった農地は復活できないと考えた方がよいです。草木の根が張り、水田では保水力が落ち、水路もずたずたになっています。農地にするには、新たに開墾することと同等の大変な作業が必要になるでしょう。

 今、国内の食糧やエネルギーの自給率を上げることが急務だと感じています。この先20~30年の間に大幅な自給率アップが実現できなければ、日本の将来はほとんどないと考えてもよいでしょう。
 低調な食糧自給率が続く一方で、うち捨てられたおびただしい数の農地。多くの矛盾をはらんでいるのが今の日本社会であり、それは20世紀的価値観の裏の姿でもあります。
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by senang | 2006-06-13 17:23 | 【1】持続的な生き方
「眠男」、連載打ち切り
 気の向いた時にアップしてきました「眠男」ですが、この度、連載を打ち切りました。公開していないものも含め、全30話(完結)を下記にまとめてアップしております。よろしければご覧くださいませ。

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by senang | 2006-06-09 09:15 | 物語
生き残りあるいは絶滅へ向けた10のシナリオ
 人類がこの先をどう生き残るのか(または生き残ることができないのか)について、いくつかのシナリオを考えてみました。空想の域を出ませんが、視野を広げる材料にしていただければ幸いです。

シナリオ1:価値観と暮らし方に方向転換が起こる
 徐々にではあるが国民的理解が形成され(価値観の転換)、社会システムや生活様式を変えていく。ひいては、この動きが全世界に広がり、地球レベルで成長型社会から持続型社会への移行が実現する。
→発展の兆し=持続的生き方の実現

シナリオ2:体制によって強制的な方向転換がもたらされる
 価値観の転換は自然発生的に起こるものではなく、その必要を認識した国家や行政などによって積極的に社会システムの再構築が行われる。そのため、少なからず反発も生じる。一時的な混乱はあるが、数十年かけて持続型社会が確立される。
→発展の兆し=持続的生き方の実現

シナリオ3:現状のまま推移して化石燃料が高騰する
 国家や行政はこれまでの社会のあり方に疑問を持つことはなく、イニシアチブを取ることもしない。一方、価値観の転換や社会システムの再構築がなされないため、近視眼的な資源(主として化石燃料)の確保が急務となり、経済に多大な影響が出ることになる。
→発展の兆し=持続的生き方の実現

シナリオ4:化石燃料をめぐって国際情勢がますます不安定になる
 現状の生活レベルの低下を受け入れられないことを棚に上げ、化石燃料の枯渇に端を発して争乱が起きる。資源確保の重要性に比例し、軍備強化も進められることとなる。
→劣化の兆し=絶滅への第一歩目

シナリオ5:成長型社会が破綻してはじめて方向転換が起こる
 現状の社会システムが破綻する。そこではじめて暮らし方を変えなければならないことに気づく。<→オプション1へ>
 しかし、オプション1に比べると、経済破綻によって貧困の進行、失業者の増加、などが深刻化しており、社会システムの再構築は容易ならざる状況になっている。
→発展の兆し=持続的生き方の実現(ただし大きな痛みを伴う)

シナリオ6:世界規模で戦争が勃発する/環境問題も深刻化する
 社会システムの破綻を修復するため、資源をめぐって世界規模で戦争状態に突入する。世界大戦の様相を呈する。
 また、化石燃料を使い続けることにより、地球温暖化などが依然として進み、環境問題が深刻化する。
→劣化の兆し=絶滅への第二歩目

シナリオ7:格差拡大と人口淘汰/国外脱出
 戦乱により、経済、教育、文化が停滞し、ひいては人間性の低下が起こる。敗戦国における生活レベルは極度に低下し、民衆がスラム化する。戦勝国はわずかになった資源をほぼ独占し、従前の発展を続けようとする。なお、戦乱という人為的な人口淘汰が実現するため、生き残った者(戦勝国)が使うことのできる資源は、一見すると増えたように感じられる。
 化石燃料の消費は依然として続くため、環境問題は一層深刻化する。国境の発展的な解消と交流の促進ということを名目に、環境問題を逃れる動きが目立つようになる。実質的に、途上国に対する植民地化が進む。
→劣化の兆し=絶滅への第三歩目

シナリオ8:スラム化から貧困国へ移行する
 戦勝国と敗戦国の格差が著しくなる。敗戦国ではスラム化が進み、人口増加と生存率低下が起こり、典型的な発展途上国もしくは貧困国の人口増減パターンを形成する。
 なお、オプション5で社会システムと価値観を転換させる痛みに耐えきれない場合、結果的にここに帰着することとなる。
→劣化の兆し=絶滅への第四歩目

シナリオ9: 絶滅へのサイクルを繰り返す
 人間は「増加→淘汰→増加」というカルマから逃れることができない生物である。その結果、オプション3~8をたどる以外に道はあり得ない。このサイクルを繰り返すうち、人間が住める環境が地球規模で失われ、人類は勢力を欠いていく。
→劣化の兆し=絶滅への王手

シナリオ10: 新勢力が台頭する
 人々の価値観は一様ではない。人間のカルマに身を置きながら、持続的な生き方を目指す者も現れる。旧来の価値観を持つ大半の者から反社会的と見なされて攻撃の対象になるが、点在する少数派が集団化・組織化していくことにより、現行の社会と勢力を二分する存在にまで発展する。
 両者は生物学的に見れば同じ人類であるが、価値観や生き方の面では全く別のものとなっていく。長期的に見ると、別の生物として枝分かれする分岐点と言える。
→進化の兆し
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by senang | 2006-06-06 17:24 | 【1】持続的な生き方
奇跡や神秘がありふれている世界
 雪が消えると、山の草木は一気に芽吹きます。みずみずしい新緑の色は、命のエネルギーが溢れている色です。
 若芽の1つひとつを見ていると、成長の過程が実に緻密であることに気づかされます。その根本をたどっていくと、遺伝子レベルでプログラミングされているコマンドの正確さと厳密さに行き着きます。一見すると、それは奇跡的だったり神秘的だったりしますが、現象の数としては無数に近いものです。

 我々は、奇跡や神秘がありふれた世界に触れることができます。
 そして、そのことをありがたいと感じる気持ちを大切にしたいと思います。
 同時に、自分もその中の1つであることを認識する必要があります。

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by senang | 2006-06-04 03:15 | 【1】地球のリズム
眠男 第25話
 フライト許可が出ない!海に浮かんだヘリプレーンの中で小三郎とアレックスは焦っていた。小三郎が入力したフライトプランは海岸線と垂直に進んで海上を飛ぶものであり、周辺に重要施設もなく、空中の混雑もないはずである。不可解に思って何度も申請をやり直したが、管制センターから返ってくる返事は全て不許可というものだった。
 小三郎は目的地に問題があるのではないかと感じた。その理由を考えている時間はなかったため、海岸線に沿って南下するコースを再設定し、もう1度申請した。虚偽の申請は違反であるが、許可が出た後で申請コースを外れて本来の目的地へ向かおうと思ったのだ。
 ほどなくしてフライト許可を受信し、ヘリプレーンのシステムがオンラインになった。小三郎は勢いよく上昇すると、海の向こうに見える雲へ向かって全速力で飛び立った。水平線を見つめる小三郎とアレックスの顔は、今にも沈もうとしている夕日に照らされてオレンジ色になっている。
 すぐにコースから外れていることを伝えるアナウンスが鳴った。2人はそれを無視してしばらく飛び続けた後、小三郎は「ここだ」と小さく呟きながら、直感に従い雲の中へ向けて操縦桿を引いた。
 雲の中は真っ白になって前後左右がわからず、まるで牛乳を入れた巨大なグラスの中を泳いでいるように感じる。方向感覚を失ったが、それでも上へ向かってしばらく飛び続けた。すぐに小三郎は計器の異常に気づいた。コンソールに示された緯度、経度、高度の値が、全て23.1を指していたのである。故障なのかちゃんとした原因があるのかはわからないが、とにかく現在地が本当にわからなくなってしまった。
 慌てても仕方がない。しかし、どうして良いのかもわからない。上昇したりホバリングしたりしていたが、とうとうアレックスが口を開いた。

「ここなの?」
「わからない。でも、ここだと思う。」
「どうする?」
「どうしようか?」

 かれこれ1時間半はここにいる。じきに燃料もなくなりそうだ。
 それから2人は、不思議というより不自然な現象を感じた。日が暮れていないのである。離陸した時は夕暮れであり、数十分もすれば真っ暗になるはずであった。しかし、今も雲に突入した時と同じように明るい。雲の中で目にできるものは白い靄しかないが、雲全体が柔らかい光を発したまま闇を退けているようだった。


極楽(FIction World)
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by senang | 2006-06-04 02:35 | 物語
眠男 第24話
 2人の話を聞いた弘は、車で海まで送るという。そして、言うが早いか外へ躍り出て、玄関へ詰め寄っている不気味な集団を殴り散らした。その間にアレックスと小三郎はガレージへ向かい、弘の車に乗り込んだ。
 すぐに弘もやって来て、即座にエンジンをかけて発進した。ガレージの扉を突き破り、道路に溢れているシーザードを跳ね飛ばして大通りへ向かった。走ってこようとする者もいたが、車に追いつくことは難しいようである。弘は、信号も車線も対向車も無視して海までの最短ルートを走った。

「シーザード、玉を狙ってる。」

 跳ねる車の中でアレックスが言った。今回のシーザードは特定の人物をターゲットにしているのではなく、玉とそれを持っている者を狙っているというのだ。

「小三郎、時が来たみたいだね。兄さんの時と同じ、弘さんの。」

 アレックスのその言葉を聞き、弘は兄が亡くなった時のことを思い出した。アレックスの推理によると、兄は玉を持っていたために不気味な一団に襲われて死亡したということになる。兄は逃げ切れなかったが、直感的に小三郎を同じ目に遭わせてはいけないと思った。
 海岸に着いたが、シーザードは追ってきていない。

「片づいたら、また遊びに来いよ。」

 そう言った後、弘は今のうちに行けと急かして2人を見送った。2人は松の茂みの奥へと消え、海上に停泊しているヘリプレーンに向かった。弘はヘリプレーンが離陸するまで見送ろうと思い、ゆっくりと車の外へ出てタバコに火をつけた。


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by senang | 2006-06-04 02:30 | 物語