我が家には下水道がありません。正確には、下水道が近くまで埋設されていません。下水道をつけるのは町の仕事ということで、現在あちらこちらで工事が進められています。
合併浄化槽などがあればまだ良いのですが、我が家にはそれすらもありません。それでも生活すれば水を使います。そこで、普段使われている水がどこをたどってどこへ流れていくのかを調べました。
炊事場や風呂場の水など、全ての生活排水は家の裏の小さな溝に流れ込みます。その溝は小さな池につながっており、そこで少し自然浄化されます。池は水路につながっており、地中の管を通って溜桝(五右衛門風呂を再利用したもの)に注ぎ込みます。そこが沈殿槽のようになっており、再び自然浄化されます。そして、さらに管へと流れていき、小さな用水路に落ちて家の敷地を出ます。この小さな用水路は、農業用水としても使われている他、しばらく流れていくと町の主要河川に接続しています。
つまり、我が家は昭和30年頃につくった水循環のシステムそのままというわけです。前の主もこの水の流れを利用して数十年間住んでいました。
しかし、これではもろに垂れ流しです。
排水が田んぼへ回され、ひいてはその米を食べているわけです。我が家は見事な循環系の中で生きていると言えますが、だからこそ水を汚さない試みが一般家庭よりも重要になります。そこで、排水を出す方に気を遣いました。まず、富栄養化の原因となる栄養価の高い炊事排水は出さないようにしました。例えば、カレーを食べた後、ルーがべったりついたお皿を台所で洗うのではなく、流すものを極力なくします。もう少し気温が上がれば、コンポストなどで残飯処理をしようと考えています。さらに、市販の洗剤を使わないようにすると同時に、EMを利用した石鹸を炊事でも風呂場でも使うようにしました。
余談ですが、EM石鹸は妻が自作しています。EM石鹸については、愛媛県の宇和島市で「海を汚してはならない」ということで漁師が立ち上がり、石鹸づくりと使用を普及した事例があります。そこの活動を参考に、こちらでも石鹸づくりを始めました。
下の写真は、五右衛門風呂の溜桝に住むヤゴです。このヤゴの他、もう少し大きくていかついヤゴも数匹いました。水は決してきれいだとは言えませんが、何とかヤゴが生息できる状態を維持しています。
暮らしが水の循環の中にあり、水の循環を生み、生活することでビオトープの一部をつくりあげることができればいいなと感じました。