脱・集落&新たなコミュニティ創出 その1
 その2 その3 その4

【その1 集落のしきたり】

 月に1度、定例の集落常会があります。これは、集落に住んでいる者が集まり、必要なことを話し合う場です。例えば、祭りの時期には配役や方法について話し合ったり、役場から農業関係の事業が伝達されれば中身について議論したりします。僕が住んでいる集落では、3月は新年度の役員の改選を主な議題として、1時間あまりの話し合いがありました。



 常会には世帯主が出てきます。若い者が出る機会はほとんどなく、年配の者の考え方と意見が飛び交い、意思決定がされていきます。さらに、家に帰った世帯主が奥さんや子供たちに常会の経過を話すことは少なく、必ずしも在住者全員に集落の情報が伝わっているとは限りません。

 世帯数が少ないため、出てくる顔ぶれは決まっています。従って、話し合いの手順や意思決定の方法も固定化されています。僕の集落は17戸なので、かなりなぁなぁで物事が決められます。
 役員の中でも自治会長の選出は紙に推薦する人の名前を書いて投票する選挙方式なのですが、既に順番が決まっているようです。選挙とは名ばかりだということを知らなかった僕は(選挙で役員を決めることも当日まで知りませんでした)、純粋に適任者だと思った方の名前を書いて出しました。ところが、開票の時に「なぜこの人の名前が挙がってるんだ!?」ということになってしまいました。

 集落は新たに入った者に対して親切な組織ではなく、「みんなよくわかってる」ことを前提として物事が進められます。僕は約半年前に越してきて今の集落へ入ったため、集落でのしきたりを熟知しているわけではありません。極端な話、僕が自己紹介をする場面は設けていただいたのですが、他のみんなが自己紹介をしてくれるわけでもなく、集落のしくみや年間行事を説明してくれることもなく、今でも知らない人がいて、よくわからないままのこともあります。それでも、「みんなよくわかってる」ことを前提として物事が進んでいきますので、わからないことがあればその都度誰かに聞きながらついていくことになります。
 時にはその場になって初めて知るということもあります。先に述べた役員改選もそうでしたし、その後に恒例の飲み会があるということもそうです。飲み会があるとは知らなかった僕は、話し合いが終わって帰ろうとしたのですが、奥からビールが運ばれてきて「え、そうなの!?」とわかったという状況です。

 それで、その飲み会の場でのこと。僕は常会の後に別の用事があったのですが、飲み会を「聞いてないよ」という理由で帰ることができない雰囲気がありました。集落での話し合いや活動は何よりも優先しなければなりません。飲み会を断るなんてことは特に許されません。仕方なく飲んでいると、あるおじいさんが僕に「新参者は酒を注いで回れ」と“親切にも”指示してくれました。そして、「ちゃんと酒を注いで先輩達に挨拶しておかなければここではやっていけないぞ」ということを蕩々と語ります。僕は、元々酒が強くないことと、新参者と先輩というとらえ方にとても違和感があったために腰を上げませんでした。なので、そのうち集落の一員としてやっていけなくなるのかもしれません。他の集落では、住んで数十年しなければ常会での発言権がないといった、笑えない話もよく聞きます。

 もう1つ気になるのが葬式です。集落は葬式を出す単位でもあり、誰かが亡くなると、みんなは仕事も何もかも休んで2日間かかりきりで手伝いに出ます。故人を送ることは尊いことであり、葬式に時間と手間を費やすこと自体に異論はありません。ただ、このあたりは無条件に仏式であり、異なる宗教の人が来たらどうするのかななどと心配してしまいました。
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by senang | 2007-04-10 14:07 | 【2】コミュニティ
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