資源配分マスター
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 閉鎖型循環系という地球では、生物が生きていくための共通ルールがあります。太陽エネルギーを発端としたエネルギー循環があり、その枠内で生存していくということです。薄くて脆い地表で、エネルギー循環を急激に乱す、インプット以上のエネルギーを消費するなどのルールを破ると、当然ながらおかしなことが起こって生命が危険にさらされます。
 この考え方に基づけば、超えてはならない限界値があることに気づきます。別の角度から見ると、所属する環境の限界値に応じて、生物に許されたエネルギー消費量が決まっているということになります。
 環境容量に合わせて成長の限界を見極めるのか、成長し続けていくために環境容量を増やそうとするのか・・・。前者の道を歩んできた者もいれば、主として後者の道を歩んできた者もいます。今の人類は、紛れもなく後者ですね。
 右肩上がりの文明には、もうすぐ限界が訪れます。これからの時代、バイオマスの再生産なども含めて、限られた資源の中で生きていかなければなりません。それらの持続性を保障する観点から、文明を節度あるものに再構築する必要があるでしょう。

 ところで、限られた資源の配分は誰が決めるのでしょう?地球のリズムをしっかりと聞き取ることができるのなら、自発的にバランスを取ることもできると思います。でも、今の人間にそれができるのか、とても怪しいと言わざるを得ません。
 残された方法は、意識的に自制することのような気がします。まず、インプット(太陽エネルギー)とその循環効率を考え、循環系を把握すること。次に、循環系の中にある適正な環境容量を計算すること。それに従い、消費可能なエネルギー量を決めること。勿論、エネルギー消費の中には、再生産に必要な行為も組み込まなければなりません。
 そんな計算を行い、適正な配分を行うマスターが必要なのかもしれません。現状の国家がその役目を担うなんて到底無理だということはわかりきっていますね。経済界もNG。宗教も論外。つまるところ、今の支配層には適任者がいないというわけです。

 そんな現状を打破し、新しい価値観で資源配分を行うマスターが数年以内に出現しなければ、人類は大きな痛みを伴うことになると思います。マスターは資源の配分を行うだけではなく、環境容量に合わせて人間の数や文明の発展度合いを規制する役割も併せ持つ必要があります。
 個人なのか組織なのかはともかく、世界規模で人類をマネージメントする存在の必要性を強く感じています。



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竹内和彦・鷲谷いづみ・恒川篤史編「里山の環境学」東京大学出版会

 里山での自然の利用においても、環境容量という、人間も含めて生物一般の生活を支配する厳しい制約からは免れることはできない。資源や空間の過剰利用は、やがて資源の枯渇とともに生物多様性の低下も招くことになる。(略)
 植物資源を持続的に利用し続けることに成功した地域では、多くが入会地である里山の利用に関してきめ細かいしきたりがつくられていた。最近「百姓の時代」として見直されている江戸時代には、地方では高度な自治が行われ、入り会いのしきたりなどが整ったとされる。
(鷲谷いづみ;14~15ページ)

 里山は「自給自足」を基本とし、わずかな余剰生産物および家内工業的加工品を交換市場に出すという経済体制のもとにあった。したがって、里山が収容しうる住民の数は、里山の生物生産量に依存していたであろう。
(略)
 以上を総合して、20家族(人口100人、牛馬は3家族に1頭)の集落が成立するためには、水田4ha、森林30ha、草地2-3haを最低必要としていたと推定される。
(飯山賢治;175、177ページ)

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Richard G. Wilkinson著「経済発展の生態学 -貧困と進歩-」筑摩書房

 すべての個体群はその資源の限界を越えて増加する潜在的能力をもっている。もしその個体群が生態系の均衡を維持しようとすれば、その個体群は、資源が危機に瀕する以前にその個体数を制限するメカニズムを発展させなければならない。そのようなメカニズムは、いずれも個体数を次のような水準に維持するように自動調節的に働かなければならないだろう。つまり、資源が支えることができる最大の収穫量に近い-ただし、これを超えない-ものをちょうど摂取するぐらいの水準である。
(36ページ)

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by senang | 2006-01-26 01:07 | 【0】センシブルワールド
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