ジャングルの道を延々と進み、電気もない集落に入り、広場の脇に車を停めると住民が珍しそうに集まってきました。気がつくと、車窓越しに、少年と呼ぶにはまだ若すぎる子供が立っていました。未就学児だと思いますが、とてもしっかりした眼差しでこっちを凝視しています。耳のピアスと安全ピンで垂れ下がっているよだれかけがアンバランスでいいです。
彼の目からは、日本では滅多に感じることができなくなった緊張感が伝わってきました。山で動物にでくわして目があった時の感覚と同じです。僕は、この小さな織田裕二から目をそらすことができませんでした。1枚だけ写真を撮らせてもらった後、車が動き出すまでの数分間、お互い動かず物も言わずにじーっと見つめ合ったままでした。