孤立した集落から危機管理を考える
 季節は巡り、冬の次には春が来ます。でも、本当にこの冬に終わりがあるのかとお思いの地域もあることでしょう。昨年12月から続く豪雪で、地元でも「冬になったかと思えば大雪」、「今からこんなんじゃ冬が長く感じる」という声をしょっちゅう聞きます。

 新潟県津南町と長野県栄村。連日の報道でここが取り上げられています。ここ以上の積雪量がある地域は両県内にも数多くあるようです。しかし、なぜここがこれほどまでに注目を集めているのかといえば、両町村を結ぶ国道405号線が大雪のために通行止めになっていること、それによって孤立している集落があること、さらに、災害支援のために自衛隊が出動したことなどが挙げられます。
 孤立した集落にお住まいの当事者の方々には、配慮に欠けた発言で心苦しいのですが、この現状を別の視点から申し上げたいと思います。

■孤立しても生きていくことができる
 国道が通行止めになるということは、自動車で行くことができないということです。当然、食料や燃料をはじめとする生活物資は届きません。国道405号線沿線に限ったことではありませんが、孤立してもしばらくは食べていくことはできます。なぜなら、集落の世帯には、米をつくり、野菜をつくり、それらを蓄えているところもあるからです。注目すべきは、それらが防災上の備蓄ではなく、普段の生活の延長にあることです。いざという時でも慌てず生き延びることができるわけです。
 幸い、水や電気といったライフラインは機能しているようです。仮にライフラインが途絶えたとしても、雪を溶かして水を得ることもできれば、新鮮な沢水もあります。必要に迫られれば木を伐って燃料にすることもできます(生木は良い燃料とは言えないため、前もって準備しておく必要はありますが...)。潜在的に蓄えがあるわけです。

■本当に危機的状況なのは都市部
 仮に、今回のような豪雪が主要都市に降ったらどうなるでしょう?家に食料の蓄えはなく、店にある品物もじき底をつきます。ライフラインが機能しなくなっても、飲み水すら確保することができません。マンション暮らしだと薪で火を焚くことすらできないでしょう。
 大雪でなくても、何らかの災害が起こり、情勢不安のために食糧や燃料の輸入が途絶えてしまえば同様の混乱を招くことでしょう。そうなると、本当に危機的状況なのは県境の集落ではなく都市部です。むしろ、都市部の方が基本的生活基盤を失いやすいと言えます。脆いです。

■過疎・高齢化への対応を考える
 孤立した集落の問題は、通行止めになったことよりも、過疎・高齢化が進んでいる地域であるということの方が重要視されるべきでしょう。若い働き手がいれば除雪は随分と進みます。しかし実際には、高齢者のみの世帯や独居者の世帯も多く、除雪に苦労していらっしゃるようです。
 では、そのご子息はどこにいるのでしょう?大抵は、高度経済成長期以降に集落を出て、近隣の都市部または大都市で生活していることと思います。マイホームを購入し、そろそろ定年を迎えられる方もいらっしゃるでしょう。
 ただし、過疎・高齢化の原因として、ご子息やその親である集落在住者や行政の体制を追求することはお門違いです。高度経済成長期以降のことを考えると、必要なことであり、時代の流れだったわけですから。
 それより、防災上の観点からも、国土保全の観点からも、過疎地域に適度な人の配置を行うことを政策的に考慮すべきなのかもしれません。国家プロジェクトとして挙げてもよいくらいです。「均衡ある国土の発展」という言葉が使われて久しいですが、知る限りでは具体性がありません。

 勝手なことを書きましたが、孤立した集落が見舞われている状況が再び起こらないことを祈ってやみません。しかしそれは、自然災害がなくなることが根本的解決ではなく、人の努力次第で多少なりとも問題を緩和することができるという思いからです。そして、日々の生活が実は危機管理上も役立っていたという理想的なライフスタイルを構築することができないか・・・と考えてもいます。
 そういう考え方や実践が、「里山から日本の価値観を変える」ことにつながっていけば良いと思います。
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by senang | 2006-01-11 22:42 | 【0】センシブルワールド
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